気象トピックス・コラム
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夏台風

 

気象庁は毎年、台風の統計をとっています。台風は、平年値でみると1年間におよそ26個発生していますが、ことしは、すでに20個(8月21日現在)の台風が発生しています。8月までに発生する台風の平年値がおよそ14個ですから、確かにことしは速いペースで台風が発生しているといえます。また、8月だけでみると8個(8月21日現在)発生していますが、平年のおよそ6個を上回っており、今月末までにあと3個発生すると、1960年と1966年の10個を超え、記録を更新します。

 

ことし上陸した台風12号は、小笠原諸島の方から本州に接近、上陸し、反時計回りに回転しながら西進したあと、九州南部の海上でひとまわりしてから大陸に向かうという、一般の台風とは全く異なる動きをしました。夏の台風は、迷走することが多いのが特徴です。これは、台風を動かす上空の風が弱いことや、複数の台風が発生することが多く、互いの距離が近くなることで、藤原の効果といわれる2個の台風が影響しあって複雑な動きをすることなどがあるのがその理由です。

 

最近はスーパーコンピューターの精度が向上し、台風の進路は5日先まで予想することができるようになりました。今後はこの5日先の予報に、風速25メートル以上の暴風域を伴う恐れがあることをあらわす暴風警戒域も示されることになる予定です。とはいえ、4日先、5日先になるにつれて台風の予報円は大きくなります。誤解されがちですが、これは台風が発達して大きくなるということではありません。予報円が大きいということは、それだけ台風の進路が定まっていないということをあらわしているのです。気象技術やスーパーコンピューターが発達しても、夏の台風はなかなか予測が難しいものです。あまり先の予測はうのみにせず、台風が発生しているときは、つねに最新の台風情報をこまめに確認するようにして下さい。