気象トピックス・コラム
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高潮の恐怖

 

ことし2018年の台風21号では、大阪湾の潮位が3.29mと歴代1位の記録的な潮位の高さとなり、関西空港では滑走路が冠水し、一部停電も発生したりなど、多くの人の足に影響がでました。

 

高潮には、2つの要因があります。1つ目は、台風や低気圧に伴う暴風が、直接海岸に向かって吹くことにより海面が上昇する「吹き寄せ効果」です。これは、風速の2乗に比例し、水深に反比例しますので、風が強いときや遠浅の海岸ほど、海面が上昇しやすくなります。
2つ目が「吸い上げ効果」です。気圧が周りよりも低い台風や低気圧の中心付近では、周辺の気圧の高い空気が海面を押し下げることで、中心の気圧の低い部分の海面を押し上げて、潮位が高くなります。一般に、気圧が1hPa低くなると、海面が1cm上がると言われています。

 

1959年(昭和34年)に襲来した「伊勢湾台風」では、全国で死者・行方不明者5098名という大きな被害がでましたが、このとき伊勢湾では、およそ30分で海面が2.5mも上昇し、最高潮位は3.9mになり、当時あった堤防を超え、大規模な浸水が起こりました。

 

秋は最も潮位が高い時期です。大潮の際の干満の差も大きく、大潮のときの満潮と台風の接近が重なると、高潮の被害は更に大きくなるのでより一層の注意が必要です。

 

高潮による被害は、発生数はあまり多くはないのですが、起こってしまうと甚大な被害になりえます。インフラの整備により被害はだいぶ少なくなってきてはいますが、それだけに、過去の教訓を忘れてしまいがちになりますが、台風の接近時には十分な警戒が必要です。日本で主に起こった高潮による被害の統計は、国土交通省のホームページに掲載されていますので参考にして下さい。

日本における主な高潮被害