気象トピックス・コラム
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台風の名前って…?

 

昨年は、エルニーニョ現象の影響もあったとも言われていますが、台風1号の発生が遅く、1951年の統計開始以降、2番目に遅い記録となりましたが、今年の台風1号は、4月23日に発生しました。その後、6月に1個発生した後、7月には8個発生しました。その後、8月にも台風は発生しており、これから本格的に台風のシーズンが始まります。なお、台風が7月に8個も発生したのは、1971年以来の記録的な多さです。
ところで、この台風には、それぞれ名前がついています。気象庁のホームページで台風情報を見ると、号数と一緒に必ずのっています。さて、この台風の名前は、誰がどのようにつけているのでしょうか?

 

台風の名前は、以前は欧米の人の名前が使われていましたが、2000年(平成12年)から、世界気象機関(WMO)とアジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が共同で設立した「台風委員会」が、加入している14カ国の言葉で名前をつけています。14カ国とは、カンボジア、中国、朝鮮民主主義人民共和国、香港、日本、ラオス、マカオ、マレーシア、ミクロネシア、フィリピン、韓国、タイ、アメリカ、ベトナムです。これらの国々から10個ずつ名前を出してもらい、その140個の名前のリストをもとに名づけます。

 

いま、日本に影響を与えている台風5号の名前は「ノルー(Noru)」で、韓国語で「のろじか(鹿)」という意味で123番です。日本が選んだ台風の名前は、すべて星座からとっていますが、他の国では、動物や神、植物や人の名前などさまざまで、お国柄もあってとてもユニークです。この台風の名前のリストは気象庁のホームページにも載っているので興味のある方は見てみてはいかがでしょうか。
・台風の番号の付け方と命名の方法(気象庁)

 

番号が140まで回ると、また1番に戻って名前をつけます。ちなみに、最近名づけられた日本の名前の台風は、2016年11月25日に発生した台風25号で「トカゲ(Tokage)」です。日本への直接的な影響はありませんでしたが、フィリピン付近を通りました。次に日本が選んだ名前は「ハト(Hato)」です。このまま数が増えれば、今年の台風13号が「ハト(Hato)」になります。台風の平年の発生数は約26個ですから、毎年1個か2個は自分の国の名前の台風が発生する計算になります。

 

名前はくり返し利用されますが、変わることもあります。例えば、2015年10月30日に発生した台風24号の名前は89番目で、日本語で「コップ座」を意味する「コップ(Koppu)」でしたが、フィリピンを直撃し、死者、行方不明者を含めて50人以上の犠牲者が出た他、洪水や浸水など甚大な被害がでました。このように大きな被害をもたらした台風は、加盟国の変更申請により、台風委員会が別の名前に変更することがあり、その被害の記録とともにその名前が残されます。次に回ってくる89番目は、「コップ(Koppu)」から、同じく日本語の名前の「コグマ(Koguma)」に変わります。