気象トピックス・コラム
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もうすぐ秋の彼岸

 

あさって9月20日は、「彼岸の入り」です。9月23日の秋分の日を中日として、前後3日間、あわせて1週間が「彼岸」です。ご存知のとおり、「彼岸」は春にもありますので、「秋の彼岸」は、先にある春の彼岸に対して、「後の彼岸」ともいわれています。

 

また、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、秋の彼岸を過ぎると、気温がぐっと下がり、涼しさが増す傾向にあります。逆に、春の彼岸が過ぎる頃は、寒さが和らぎ、暖かくなってきたと感じ、ともに心地よさを感じる時期になります。
ところが、「秋の彼岸」の中日である9月23日の東京の最高気温の平年は、25.2度です。これに対して「春の彼岸」の中日である春分の日の場合、14.4度です。同じように心地よく感じる時期に入っているのにもかかわらず、春と秋の彼岸の頃の気温の差は10度以上もあります。暑さに向かうときと寒さに向かうときの体感は、こんなにも大きく違うものなのです。

 

さてここで、「彼岸」の起源についてお話したいと思います。「彼岸」とは、仏教の言葉です。生と死の境目にあるといわれている三途の川を挟んで、向こう側を「彼岸」といい、向かい側を「此岸(しがん)」といいます。「此岸」とは、私たちが生きている現実世界で、「彼岸」は、ご先祖様のいる死後の世界です。
日本では、この時期に、先祖供養をする風習があります。ご先祖様が帰ってくるといわれている「お盆」とは異なり、ご先祖様をしのぶことで、「極楽浄土」に行けるという仏教のひとつである浄土信仰からきている先祖供養が「彼岸」です。この行事は、日本独特の行事で、インドなどの他の仏教国にはないそうです。

 

また、「彼岸」は、「日願(ひがん)」という言葉からきたともいわれています。これは、日本の太陽信仰からきており、太陽に対する農民の信仰用語です。太陽信仰は、日本だけでなく世界各地で行われていますが、農耕民族である日本人において、春分と秋分は、太陽が真東からでて真西に沈む非常に大切な節目です。このため、春分の日には、農作物の豊作を願い、秋分の日には、収穫に感謝するという風習が、仏教伝来以前からあったともいわれています。
この昔ながらの太陽信仰と仏教の浄土信仰が合わさって行われるようになったのが、日本独自の「彼岸」という行事だそうです。

 

秋のお彼岸には「おはぎ」をお供えする風習があります。私も、「おはぎ」をお供えして、ご先祖様をしのぶつもりです。