気象トピックス・コラム
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あすは霜降

 

あす23日は、二十四節気の「霜降」です。「霜降」とは、秋が深まり寒さも増して、霜が降りはじめる頃という意味です。

 

霜は、空気中の水蒸気が水になることなく、いきなり氷の結晶になることでできます。農作物やプランターの花などに霜が降りると、細胞が死んでしまい、大きな被害がでます。
霜が降りやすいのは、気温が4度以下であること、風が弱いこと、夜間晴れていることなどがあげられます。気温が4度以下というと、それほど冷え込みが厳しくないように聞こえますが、気温の観測は、地上から1m50cmほどの所で行うため、このくらいの気温だと、地表付近は0度近くになり、ちょうど水が氷になります。また、風が強いときは、空気がかき回されるため、冷え込みが弱まります。風が弱い方が、地表付近の気温が低くなるのです。また、夜間晴れていると放射冷却が強まり、厳しく冷え込みます。夜間に雲に覆われると温室効果で雲がちょうど布団のような役割を果たし放射冷却は弱まりますが、晴れるとその雲がなくなり放射冷却が強まるためです。

 

さらに、海沿いと内陸では、内陸の方が朝晩の冷え込みが厳しくなります。海は陸地に比べ冷えにくく、沿岸部はその影響を受けるので内陸に比べると夜間に気温が下がりません。そして、内陸でも、特に盆地では厳しく冷え込みます。盆地は、日中は暖かい日差しによって暖められた空気が斜面に向かって上昇しますが、夜になると、冷たい空気がたまる上に、冷えた斜面から冷たい空気が流れ込み、いっそう冷え込むためです。

 

各地方の気象台では、霜の初日ということで、霜が最初に降りた日を観測しています。これを平年でみると、岩手の盛岡がちょうど今日にあたる10月22日が霜の初日です。霜の初日は、海沿いか内陸か、内陸でも盆地かどうか、また平地か山沿いかなどで気象状況が異なるため、単純に北から南へと順番に観測されるというわけではありません。
例えば、札幌は10月25日ですが、更に北の稚内では、11月7日です。朝晩の冷え込みは内陸の方が強いため、海沿いの稚内の方が遅くなります。また、盛岡の方が札幌よりも早いのは、盛岡が盆地であるためです。その他の所では、東京は12月20日と遅く、名古屋は11月27日、大阪は12月5日、福岡は12月12日などとなっています。

 

気象台からは、農作物の管理をする上で霜が降りて困る恐れのある時期に、霜注意報を発表します。地域によって異なりますが、発表される時期は、早霜期と遅霜期が中心で、その年の農作物の生育具合を配慮して発表します。