気象トピックス・コラム
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あすは寒露

 

あすは、二十四節気のひとつ「寒露(かんろ)」です。
朝の空気が冷えてくるようになると、「露」を見ることが多くなります。「露」は、秋の季語のひとつです。「露」がつく二十四節気には、「白露(はくろ)」もあります。ことしは9月7日にあたります。残暑が徐々に収まり、朝晩は涼しくなってきて露ができ始めるのが「白露」、その露がさらによく見られるようになり、いっそう冷たくなる頃が「寒露」です。

 

「露」は、夜間気温が下がることによって、空気中に水蒸気が含みきれなくなり、水滴となって草や木に付着する現象です。この「露」は、別名で「月の雫」とも呼ばれていますが、これは、月が美しく見える夜は、露が多く見られるからではないかと思われます。
また、秋には、仲秋の名月などのお月見の風習があり、月に親しみやすい季節でもあるため、月が露につながり、こういった言葉が生まれたのではないでしょうか。

 

露がよく見られる条件の一つに「昼と夜の気温差が大きいこと」があげられます。こういったときは、移動性高気圧に覆われてすっきりと晴れ、日中は気温が上がりますが、夜間雲がないことによって地表の熱が奪われる放射冷却が強まり、朝はぐっと温度が低くなります。
また、この時期は、低気圧と高気圧が交互に通り、天気は周期的に変化します。雨が降った後に移動性の高気圧に覆われるため、水分も地表付近に残っていて、露が結ぶための水蒸気が十分にあります。こういったことも手伝って、露がよく見られるようになるわけです。

 

そして、季節が進みさらに冷え込むようになり、気温が4度以下になると、地表付近の温度が0度近くになるため、露は霜に変わってしまいます。
今年は、9月29日に強い寒気が流れ込み、北海道の帯広では、早くも初霜が観測されています。

 

夜間月が美しく見える翌朝には、朝日に輝く美しい「露」が見られるようになります。
この「月の雫」で、深まる秋を感じてみてはいかがでしょうか?