気象トピックス・コラム
過去の記事
雪の活用

 
先日、東京の世田谷区に新潟県十日町市から運ばれた雪で造った巨大な滑り台が登場し、多くの親子連れで賑わったというニュースが新聞記事にありました。世田谷区と十日町市は交流が深く、新年の子どもまつりの目玉イベントの一つになっているとのことです。また、かまくら(地元ではほんやら洞と言う)も造られ、親子連れが一緒に中に入り、記念撮影をしており、雪は区内の小学校や公園に運ばれ、雪遊びに活用されるということです。
 
雪と言えば、除雪などの厄介物としてのイメージを浮かべますが、豪雪地帯に住む方々は雪と上手く向き合って活用しており、その一つに雪室があります。
雪室とは雪の冷気を利用して低温で農産物などを保存する施設のことです。一般的な冷蔵施設と比べると、電気を使わずに、自然エネルギーである雪の冷気を利用するため環境に優しいのが特徴です。また、夏の間も低温・高湿度に保たれ、冬でも凍結することがないので、農産物を新鮮な状態に保つことができます。雪室で貯蔵することでデンプンが糖へと変わり、甘みが増すということも分かっています。
 
農産物貯蔵だけでなく居住空間にも雪が活用されるようになっており、新潟県には雪冷房の中学校が、北海道には雪冷房マンションが登場しています。雪冷房マンションは、駐車場に積もる雪を夏まで保存し、この雪が解けてできる冷水を循環させて冷房を行っています。冷房に必要となる電気は、電気エアコンに比べて約3分の1となり、環境にも優しく、経済的にもメリットがあります。夏の光熱費を気にせず暮らすことのできる優良物件ですね。
 
降りすぎると多くの被害が出てしまう雪ですが、他にもまだまだ利用方法はありそうです。皆さんも新たな雪の活用法を考えてみてはいかがでしょうか。