気象トピックス・コラム
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冬に星がよく見えるのはなぜ?

 
11月も下旬となり、夜空が綺麗な季節となりました。今日、11月24日は東京に天文台が生まれた日です。東京天文台は、1921(大正10)年に東京都麻布区板倉(現在の港区麻布台)に設置され、1924(大正13)年に都会の明るさのために観測が困難になったことから、郊外の三鷹市に移転されました。
天文というと、私も子供の頃からプラネタリウムに行くことが多く、何と言っても中学生の頃に寒い中で見た大迫力のしし座流星群を忘れられません。ところで、そもそもなぜ冬の夜空はきれいなのでしょうか。
 
一つ目に空気が乾燥しているからです。天体観測を妨げる要因の一つに水蒸気があり、水蒸気が多いと大気が霞み、空の透明度が下がります。水蒸気が少ないということは、大気の透過率が高いということなので、大気中の水蒸気が少ない乾燥した冬にこそ星がよく見えるのです。寒さの辛い冬ですが、天体観測には適しているのです。
二つ目に夜の時間が長いためです。冬は、日没が早く日の出も遅いので暗い闇になる時間が長いのです。日が短いのは憂鬱ですが、たくさんの星を見られると思うと気持ちも変わるのではないでしょうか。
三つ目に冬の星座がきれいに見える理由に「瞬き」があります。瞬きは、星の光が大気層を通過する際に密度の違いによる揺らぎで起こり、それは気温や湿度が低いほど、風が強く吹くほど顕著になるので、木枯しの吹く冬の空では他の季節に比べて一層星が瞬くのです。
四つ目に見られる一等星の数が多いからです。星は、明るさを示す等級があります。最も明るく見える星を一等星、目で見えるぎりぎりの星を六等星とランク付けされており、六等星の100倍の明るさを持つ星が一等星です。一等星は21個あり、日本では年間15個の一等星を見ることができます。春には3つ、夏には4つ、秋に1つ、冬には7つの一等星を見ることができるので、冬の夜空は明るい星が目立つのです。今の時期に夜空を見上げると、オリオン座のぺテルギウス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウスで作る「冬の大三角形」が南の空に輝いています。
 
このようにきれいな冬の夜空ですが、薄着で見ていると風邪をひいてしまいます。冬の夜空を見る際は、暖かい服装をして下さい。
皆さんも星が見えやすいこれからの時期に暖かい服装をして冬の夜空を楽しんでみてはいかがでしょうか。