気象トピックス・コラム
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天気の崩れを教える雲

 
先日、「これから天気は崩れてくるよ」と雲の様子を見ながら友人に話をしたら、「何で分かるの?」と聞かれたことがあります。そこで今回は、「天気の崩れを教えてくれる雲」を紹介します。
 
例えば、飛行機雲があります。
「飛行機雲が出ると雨」という言い伝えを聞いたことはありませんか?正確には、飛行機雲がなかなか消えずにいつまでも空に残っていて、発達して大きくなったら、その後は雨になることが多いです。
飛行機雲は、ジェット燃料が燃焼したときに生じる水蒸気が、周囲のマイナス30℃~40℃の非常に温度の低い空気に急激に冷やされることでできます。空気が乾いているときは、その雲は蒸発してやがて消えていくのですが、晴れていても空気が湿っているとなかなか消えずに残ります。つまり、飛行機雲がいつまでも残っている日は晴れていても上空の空気が湿っていることを表しているのです。このようなときは低気圧や前線が近づいていることが多く、天気の崩れを教えてくれるのです。
 
また他に、天気の崩れを表すことわざに「太陽(月)に暈がかかると雨」というものがあります。暈とは太陽(月)の周りに見える光の輪のようなもののことです。暈の正体は巻層雲で、約1万メートル付近に出る雲で氷の粒でできている薄い雲です。この中を太陽光が通る時に屈折して暈ができるのです。巻層雲は低気圧の前面によく現れる雲なので、暈は雨の前兆となるのです。
他にも「羊雲は雨」というものがあります。羊雲も低気圧が近づくときによく現れ、先ほどの巻層雲より低気圧に近いところで現れるので、天気が崩れるまでの時間がより短く、暈では1日~2日後、羊雲では半日ほどで雨が降りだすことが多いです。
 
このように、雲の様子から天気を予想することは自分でもある程度できるのです。精度の高い天気予報を知るにはテレビやインターネットなどからの情報が必要ですが、ある程度なら自分でも外に出て空を見ながら明日の天気を予想できるので楽しいですよ。