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先日、宮古島や石垣島でサシバと呼ばれるタカの南下の初見が観測されました。サシバは暖かい東南アジアなどで冬を過ごすため、この時期になると本州から南西諸島へ飛来する夏の渡り鳥の一種です。
サシバやツバメなどの夏鳥は、やがて日本から姿を消しますが、そんなサシバやツバメと入れ替わるようにシベリアなどの北国からはるばる日本に渡ってくる冬鳥がいます。ガンや白鳥などで、夏はシベリアなどで子育てをしていますが、冬季は極寒となるため、日本で冬を過ごし、春になると北の繁殖地へ戻るのです。
ところで、渡り鳥はあの小さな体でなぜ数千キロも移動できるのでしょうか。
それは、鳥たちは風を味方につけて飛んでいるからです。例えば、ナベヅルやマナヅルなどの冬の渡り鳥の場合、秋にロシア東部などから朝鮮半島を通って九州や山口県などにやってきますが、日本付近が大陸からの高気圧に覆われ始めるとき、北寄りの風が吹きますので、その風に乗ってエネルギーを節約しながら飛んできます。この渡り鳥を目的地に運んでくれる風は「雁渡し(かりわたし)」と呼ばれており、冷たい北の海の上を渡り鳥が群れをなして飛んでくる姿には、懸命さを感じます。どうやって風を読んで渡るのか、鳥に聞いてみたいものですね。
それにしても、越冬地までの長い道のりを迷わずに渡る渡り鳥たちの方向感覚は抜群で、すごいことですね。生きていくために天気を読んで毎年何千キロも旅をする渡り鳥は、まるで気象予報士のようです。