気象トピックス・コラム
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秋の霧は晴れの兆し

 
最近朝晩を中心に冷え込む日もあり、秋の深まりを感じる季節になりました。天候の良い日は車で出掛ける方もいらっしゃると思いますが、濃い霧で見通しが悪くなることもあるので注意が必要です。
 
霧には移流霧、蒸気霧など気象条件によっていくつか種類がありますが、秋によく発生する霧は放射霧で、盆地で発生することが多く盆地霧と呼ばれることもあります。
盆地は周囲を山に囲まれていて風が弱い傾向があります。また、移動性高気圧に覆われてよく晴れた日の夜間は、地面から熱が奪われる放射冷却現象が強まります。その結果、周囲の山から冷気が降りてきて盆地に溜まり、大気中の水蒸気が飽和に達して水滴となり霧が発生するのです。
 
霧は地表付近では見通しを悪くしますが、山や航空機など高度の高い位置から見下ろした時に私たちに雲海と呼ばれる絶景を見せてくれることもあります。朝霧は晴れということわざがありますが、霧は太陽が昇って地面が暖められると消滅するため、雲海は朝だけの特別な風景です。
 
山や航空機などよりもさらに上空の宇宙から霧を見ることはできるのでしょうか。
テレビなどでよく見る気象衛星ひまわりからの雲画像は、赤外線画像です。この画像では上空の雲は白く写りますが、地上付近の雲ほど暗く写ります。霧は地面付近に漂っているので黒っぽくしか見えず、「黒い霧」と呼ばれています。
 
今の時期はお出掛けするには最適ですが、車を運転する際は霧には十分気をつけながら行楽の秋を楽しむようにして下さい。