今日12月17日は飛行機の日です。1903年のこの日、ライト兄弟が人類初の動力飛行に成功しました。ところで飛行機と言えば、皆さんは行き先によっては航空機の飛行時間が季節により異なるのをご存知でしょうか。
地球の中緯度(約30~60度)付近の上空には、偏西風と呼ばれる西から東に向かって流れている大きな風の流れがあります。偏西風は上空へ行くほど強さを増し、高度10km付近で最も強くなっていることが多く、この特に風の強い部分はジェット気流と呼ばれています。ジェットという名前は、飛行機のジェットエンジンが出す高速の風がもとになっていると言われています。ジェット気流には寒帯前線ジェット気流、亜熱帯ジェット気流、偏東風ジェット気流があり、寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流が航空機の運航に最も関係が深いと言われています。ジェット気流は季節によって位置や速さが大きく変わります。冬は最も南約25度付近に下がって最も強く、夏は約45度付近まで北上して弱くなります。冬は時速70~100kmに達することもあるので、飛行機が気流に乗れば目的地まで早く到着できますが、東京から西に向かう便は向かい風になって飛行速度が落ちるため、夏に比べて飛行時間が長くなります。私も先日東京から南西諸島までの往復に航空機を利用しましたが、帰りはジェット気流に乗って約2時間で着いたのですが、行きは約3時間かかり、強いジェット気流の影響を強く実感しました。さらに、日本から欧米へ行く便だと行きと帰りでは所要時間が大幅に異なり、成田からニューヨークまでの場合、1時間45分も差がでることもあるのです。
ジェット気流付近の高度では晴天乱気流と呼ばれる風速や風向が急激に変化する現象が起きることもあります。この現象はジェット旅客機が就航するようになってから注目されるようになり、必ず晴天乱気流が起きる訳ではありませんが、乱気流に遭遇すると激しく揺れることもあるため注意が必要です。
ジェット気流は、地球を一周する大きなスケールです。
空の旅は長時間になると退屈ですが、大きな地球の息遣いを感じられるとわくわくした旅に変わりますよ。
気象トピックス・コラム
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