気象トピックス・コラム
過去の記事
冬の雷

 

太平洋側や内陸部では夏が雷の季節ですが、日本海側ではこれからです。

 

下のグラフは、太平洋側で雷の多い栃木県宇都宮市と、日本海側で多い石川県金沢市の雷日数を比較したものです。金沢市では晩秋の11月から雷日数が増え、冬にかけて雷日数が多くなっていっています。冬にかけて雷日数が多くなる石川県や富山県では、寒ブリの漁獲のシーズンが始まる晩秋から初冬のころに鳴る雷を「ブリ起こし」と呼び、北陸の雷は冬の風物詩となっています。

 

 

夏の雷雲は主に強い日射による気温の上昇によって起こり、ときには高度10km以上の高さとなることもよくありますが、晩秋から冬にかけてできる日本海側の雷雲は、高度3km~5kmと低いのが特徴です。

 

日本海側に雷雲を作るのは、シベリア大陸からの冷たい空気と海水温の高い日本海です。晩秋になると日本列島を低気圧が通過した後に、しばしばシベリアから寒気が流れ込んできます。もともとこの寒気は大陸育ちのため乾燥しているのですが、日本海を渡って日本列島に到達するまでに、海面付近では、暖かい海から露天風呂で湯気が立つように水蒸気の供給を受け日本海を渡ってきます。シベリアからの寒気と海面で暖められた空気の温度差が大きいため大気の状態が不安定になり、積乱雲にまで発達し雷を引き起こします。

 

夏の雷雲はおもに山岳地帯で多発しますが、日本海側の冬の雷雲は沿岸に近い所に発生する傾向にあります。また、夏の雷雲は日射のある昼間の時間帯にもくもくと発生し夕方以降に発雷することが大まかに予想できますが、日本海側の冬の雷雲の発生は昼夜を問いません。

 

落雷は、停電や電気製品の損傷・通信設備の遮断の他、人命を奪うこともあり大変危険な現象です。これから日本海側では雷が多くなる季節になりますから十分に注意をして下さい。