気象トピックス・コラム
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ことし2018年は初雪の便りが遅く、北海道の稚内で11月14日と平年よりも23日も遅く、統計開始以来最も遅い観測となりました。その後、札幌でも11月20日と最も遅い記録を更新しましたが、その後すぐに東北の北部や日本海側から遅めの初雪の便りが届きました。

 

ところで、雪は「解けて流れりゃ皆同じ」ではありますが、雪が降るパターンにはおもに2つの気圧配置があります。「冬型の気圧配置」と「南岸低気圧」です。「冬型の気圧配置」は、シベリアで勢力を強めた高気圧から北西の季節風が吹き出し、日本海を渡って雲となり、その雲が山にぶつかり雪を降らせます。一方、「南岸低気圧」は東シナ海などで発生し、日本の南岸を沿うようにして東寄りに進んだ低気圧が、北東から冷たい空気を巻き込んで雪を降らせます。

 

一般的には、「冬型の気圧配置」は日本海側で、「南岸低気圧」は太平洋側で雪が降るといわれていますが、東北や西日本では冬型の気圧配置のときにも太平洋側で雪が降ることがあります。東北や西日本の山の標高は低いため、強い寒気が流れ込んでくると山を越えて、仙台や大阪、広島などに雪雲が流れ込むからです。

 

一方で、東京など関東地方の南部では、冬型の気圧配置で雪が降ることはほとんどありません。雪雲は東日本の3000m級の山が連なる中部山岳地帯で雪を降らせきってしまい、雪雲が流れ込んでくることができないからです。東京をはじめとした関東地方で雪を降らせるのはおもに「南岸低気圧」です。

 

いま、エルニーニョ現象が発生しており、今シーズンの冬はエルニーニョ現象が続く可能性が高いと言われています。このような時は、シベリア高気圧からの寒気の吹き出し方が平年よりも弱く、気温は高めとなり暖冬・小雪の傾向があります。また、太平洋側の地方では雲に覆われやすくなることがあり、日照時間が平年に比べて少なくなると言われています。とはいえ、これからが本格的な雪のシーズンです。雪に対する備えをするに越したことはないですね。