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半夏生(はんげしょう)

2020年7月1日は、「半夏生(はんげしょう)」です。


「半夏生」とは、中国に由来する二十四節気とは別に、季節の移り変わりを日本の文化や生活に合わせて設けた暦日である「雑節(ざっせつ)」のひとつです。

「雑節」は、日本の農作業と照らし合わせた季節の目安でもあります。ちょうどこの時期は野原や畑に「半夏(はんげ)」という草が生えるころです。この「半夏」が「生えるころ」という意味で「半夏生(はんげしょう)」と名付けられました。

一方で、「半夏」の球茎は昔から「カラスビシャク」と呼ばれる生薬として、痰を取り除いたり、吐き気を抑えたり、気持ちを静めるために用いられてきました。農家は、これを農作業の合間に掘り取って薬屋に売り、大事な現金収入としていました。

ところで、「半夏生」のころに降る大雨を「半夏雨(はんげあめ)」といい、その大雨による洪水のことを「半夏水(はんげみず)」といいます。いずれも災害を引き起こしかねない非常に危険な状態を意味する言葉です。

このころは、例年だと梅雨末期で太平洋高気圧の勢力が徐々に強まり、日本付近に停滞している梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込みやすくなります。大雨による洪水や土砂災害などの災害が多発する時期です。

二十四節気や「半夏生」のような雑節には、日本の変化に富んだ季節の特徴を伝える重要なメッセージが含まれています。時代は変わろうとも昔からの言い伝えには学ぶべきことがあると感じます。