気象トピックス・コラム
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カタツムリと雨の深~い関係

 

今年の梅雨は、7月に入ってから、北陸、山陰の他、九州北部でこれまで経験したことのないような大雨となり、大雨特別警報が発表された所もありました。一方、6月7日に梅雨入りしてからの東京のきょう7月8日までは、1ミリ以上の降水があった日は12日で、1日に10ミリ以上の雨が降った日は、わずか4日です。6月の総降水量は106.5ミリと、平年の3分の2ほどです。西日本で記録的な大雨となっている一方で、関東地方では、あまり雨の量が多くありません。そんなときに、ちょっとかわいそうだな~と感じる動物がカタツムリです。

 

雨とカタツムリに関することわざがいくつかあります。
カタツムリが草の上にでたら雨
カタツムリが多く這い出るは雨の兆し
など、いずれも、カタツムリと雨は切っても切れない関係にあります。

 

実際、カタツムリは、体が濡れた状態でないと生きていけません。体が乾燥するのを防ぐため、自らのからだからねばねばした液体を出して、乾燥を防いでいます。巻貝の中でも、陸上で暮らすカタツムリは、湿度の高い夜間に活動する、夜行性の動物です。このため、日中は、葉っぱの裏などに隠れています。しかし、湿度が高くて、雨が降っている日などは、昼間でも葉っぱの上に這い出してきて、元気に動き回ります。

 

しかし、関東のカタツムリが元気に這いまわれないのが、今年の陽気です。
ほどほどにしっとりとカタツムリがからだを潤すことのできるような雨が降れば、カタツムリも喜ぶのではないかなと思うのですが…。

 

ここで、カタツムリのこんな知識はご存知ですか?
カタツムリには、「右巻き」と「左巻き」がいます。ほとんどのカタツムリは「右巻き」なのですが、ごくまれに「左巻き」もおり、「右巻き」と「左巻き」のカタツムリは、交尾することができません。世には「右巻き」のカタツムリが圧倒的に多いそうです。

 

また、カタツムリは、「バイオミティクス(生物規範工学)」という分野でもヒントを与えています。生物の身体構造や機能を解析して、それをもとに人間が新たな技術を生み出す取り組みのことです。カタツムリの殻は、非常に小さな溝が規則正しく並んでいるため、この溝に水が溜まることによって殻の表面に水の膜が形成され、油などの汚れをはじき、雨が汚れを流すので、殻の表面がきれいな状態に保てます。この技術が、トイレや家の外壁財などに使われています。

 

梅雨の季節に見かけることの多いカタツムリは、人間がその謎を解くことによって、このような意外な分野でも役に立っています。