月日の経つのは早いもので、3月も中旬となりました。暖かい日も多くなり、桜の開花が待ち遠しいですね。3月下旬になると、各地から桜の開花の便りが届くのでしょうね。
この桜の開花のように、気象庁では日々の天気などの気象観測だけではなく、生物の観測もしているのをご存知でしょうか。
各地の気象台では、1953年から統一した基準を設けて動植物の観測をしており、生物季節観測と呼ばれています。生物季節観測は、動物ではその年に初めてその鳴き声を聞いた日、見た日など、植物ではその年に初めて開花した日、紅葉した日などを記録しています。
例えば、桜の場合は観察する対象の木となる標本木が定められており、開花日は5~6輪以上の花が開いた状態となった最初の日です。桜の開花や満開の観測はよく知られていますが、モンシロチョウやツバメ、シオカラトンボなど多くの生き物が観測対象になっており、平年からどれだけ早いか、どれだけ遅いか、客観的な貴重な統計として記録されています。その種類は実に様々で、トカゲやトノサマガエルを観測している所もあるほどです。
この多様な生き物たちの観測は、桜の開花や紅葉などと並んで、季節の進行状況の物差しとなる私たちの生活に密着した観測なのです。
この生物季節観測ですが、そこまで精密にやらなくても私たちでも身近にある動植物を注意して見ることによって、誰でも季節を知ることができるのです。例えば、通勤の途中などで鳥の鳴き声を聞いたり、生き物を見るような場所や近所に梅や桜の木はありませんか?忙しい毎日ですが、少し足を止めて気にするだけでも、生き物から季節のメッセージを受け取ることができるのです。
実は、私の家では亀を飼っています。亀は冬眠する生き物ですが、私の家の亀は部屋の中で可愛がっているため、冬でも日中は起きて甲羅干しをしたりしています。しかし、エサは12月になるとパッタリ食べなくなり、3月後半になるとエサを食べるようになります。この亀の行動で季節を感じることができ、その頃の気温について調べると、12月の初め頃、最高気温が15℃以下になり、3月後半になると15℃以上になっていたので、大体15℃ぐらいが目安となっているようです。私はこの亀の様子を見て秋物から冬服、冬服から春物に服装を変えています。冬眠する小動物を飼っていれば、気候や季節が分かり、服装や室内などの環境を変えたりする目安になりますよ。
昔から、四季の豊かな日本で人は生物の様子を感じ取ってきました。毎年季節の足取りを記録して、皆さんだけの生物季節観測をしてみてはいかがでしょうか。きっと新たな日々の楽しみとなり、動植物からのメッセージを受け取ることで気象に対する理解も深まるのではないでしょうか。
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