テレビなどの天気予報で、「今日は大気の状態が不安定です」という解説を聞くことがありますが、皆さんは大気の状態が不安定とはどういうことかご存知でしょうか。
大気の状態が不安定とは、上空に比べ相対的に暖かく湿った空気が強く上昇しようとする状況をいいます。
その中の1つに、夏の夕立のようなケースがあります。強い日差しを受けて地上付近の気温が上がると、暖かい空気が上昇して積乱雲を作ります。1日で最も気温の高くなる午後から夕方にかけて発生することが多く、さらに上空に冷たい空気があると雲はより発達し、広い範囲で積乱雲が発生します。このようなときは、晴れていても急に激しい雷雨になることがよくあります。
また、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、その空気が前線付近で上へ押し上げられて積乱雲が発達することもあります。このようなときは、季節や昼夜を問わず広い範囲で雷雨になることがあります。最も多いのは寒冷前線付近ですが、温暖前線、梅雨前線や秋雨前線などの停滞前線付近でも積乱雲が発生することは少なくありません。
さらに、台風の周りでは、温度の高い海面からエネルギーを補給して台風が発達すると、暖かく湿った空気が次々に集まり、大気の状態が不安定になって非常に発達した多くの積乱雲が台風の周りを渦を巻くように存在しています。台風に向かって反時計回りに風が吹き込んでおり、特に台風の東側では南から暖かく湿った空気が流れ込みやすく、積乱雲が次々に発生、発達することが多いです。
積乱雲付近では、落雷や竜巻などの激しい突風、降雹、短時間の豪雨が断続するなど、激しい気象現象がよく起きます。
「大気の状態が不安定」、「暖かく湿った空気が流れ込み」、「上空に強い寒気が流れ込み」、「台風の接近に伴い周辺を回る雨雲がかかり」などの言葉を聞いた時は、このような激しい気象現象がよく起きます。最新の気象情報に十分注意し、災害から身を守ることが大切です。
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