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重陽の節句

 

きょう2018年10月17日は、旧暦の9月9日です。
いまの日本ではあまり知られていませんが、旧暦の9月9日は「重陽の節句」という「五節句」のひとつで、江戸時代には祝日として年中行事が行われていました。

 

「五節句」には、1月7日の「人日の節句(七草の節句)」、3月3日の「上巳の節句(桃の節句)」、5月5日の「端午の節句(菖蒲の節句)」、7月7日の「七夕の節句(笹竹の節句)」があり、最後の節句が9月9日の「重陽の節句」で、別名は「菊の節句」です。菊は夜が長くなると花を咲かせる「短日植物」ですが、近ごろは秋も徐々に深まり昼間の時間が短くなって、「秋の夜長」という言葉にふさわしい時期になりました。

 

「重陽の節句」の起源は中国にさかのぼります。中国では、奇数は縁起の良い数字、偶数は縁起の悪い数字とされていました。その奇数の中でも最も大きい「9」は、最も縁起の良い数字と考えられてきたものの、奇数が重なると偶数となるため、逆に縁起が悪くなってしまいます。それを避けるために旬の食べ物を摂ることで生命力をいただき、邪気を払おうという習慣が生まれたのがはじまりだということです。

 

いまのこの時期はちょうど「食用菊」が旬で、11月にかけて楽しむことができます。菊は昔から、不老長寿や家族の繁栄をもたらすと信じられていました。「重陽の節句」には、菊の花をお酒に浮かべて飲む「菊酒」や、菊の花をお風呂に浮かべて入浴する「菊湯」の他、菊の花を枕に散らして眠る「菊枕」などさまざまな習慣があったそうです。

 

お店には「食用菊」が並ぶ時期です。きょうはご家族で菊を使って邪気を払い、「重陽の節句」を祝ってみてはいかがでしょうか。