「日本には四季がある」といわれますが、それどころか二十四節気、さらに七十二候と多くの季節があります。その中で12月12日〜16日頃は、七十二候の「熊蟄穴(くまあなにこもる)」です。クマが冬ごもりの時期に入り穴にこもる頃ですが、皆さんは冬ごもりをしないクマが出現しているのをご存知でしょうか。
日本に生息しているクマはヒグマとツキノワグマの2種類です。寒冷な北海道に生息しているのがヒグマで、本州、四国、九州に生息しているのがツキノワグマです。
これらのクマたちは秋になると皮下脂肪をため込んで冬ごもりに備えます。北海道に生息しているヒグマの場合、気温が日中も0℃以下が続くようになる頃冬眠に入り、本州、四国、九州に生息しているツキノワグマは、上野動物園の実験では気温が約6℃になると冬眠することが分かっています。
クマたちの冬ごもりは12月~4月までの4ヶ月半ほどのクマが多く、暖かい南の地方ほど短くなり、西日本では1~2ヶ月ほどのクマもいます。クマの普段の体温は37~39℃ですが、冬眠するときは31~35℃まで下がり、呼吸数も少なくなります。特に厳冬期に高所で冬ごもりをするクマは、昏睡に近い状態になるほどです。私たちはこの昏睡状態が冬の間ずっと続いているのがクマの冬ごもりと考えがちですが、実は違うことが分かっています。冬ごもりの間でもクマたちは、眠りの浅くなった時などに食物を採って食べたり、水を飲んだりすることもあるのです。
暖かい西日本では、冬の間でもウロウロと山の中を歩き回るクマがいることが分かっていますし、冬ごもり中でも眠りが浅く目覚めていることも多いと言われています。寒冷地では岩穴や土穴などでしっかりと冬ごもりをするのですが、暖かい所では穴にも入らず冬ごもりをするクマもいるようです。
山などへお出かけの際は、冬は油断しがちですが、クマに遭遇する可能性もあるのでご注意下さい。
気象トピックス・コラム
過去の記事