気象トピックス・コラム
危険な天候を知らせる雲って?

 

春夏秋冬の四季があり、自然豊かで複雑な地形のある日本では、様々な雲が季節ごとに現れますが、国際的には雲を形状や高さで大きく十種類に分類し、それを「十種雲形」と呼んでいます。今回は、その中で天気の急変を知らせてくれる「積乱雲」について紹介します。

夏などの晴れた日の空に、綿菓子のようにぽっかりと浮かぶ雲を見かけることがあります。これは「積雲」で、別名綿雲とも呼ばれ、太陽の熱で地面が暖められて上昇気流が起きることで発生します。この積雲が発達すると「雄大積雲」になります。雄大積雲の頭頂部はカリフラワーのようなもこもことした形になることがあり、雲の底は比較的暗くなります。雄大積雲の下では雨になることがあり、かなり強く降ることもあります。

出典:札幌管区気象台、気象サービス加工

 

雄大積雲がさらに上に向かって大きく発達すると、「積乱雲」になります。この積乱雲が最も発達すると頭頂部は水平に広がり、金属加工などで使われる作業台の金床(かなとこ)に形状が似ていることから、「かなとこ雲」と呼ばれます。雲ができたり雨が降ったりする現象は、地上から高さ10~16キロの対流圏と呼ばれる大気の層で起きますが、雲はこの層の上端まで発達するとそれ以上高く上がれないため、天井にぶつかったように横に広がるようになります。

出典:札幌管区気象台、気象サービス加工

出典:札幌管区気象台、気象サービス加工

 

このように、積乱雲が発達する過程では様々な雲が現れ、雷雨が発生することがありますが、かなとこ雲の下は最も危険で、非常に激しい現象が発生し局地的に記録的な大雨となることもあります。
低い土地の浸水や道路冠水による車の水没、中小河川の急激な増水や氾濫、竜巻やダウンバースト(=積乱雲から勢いよく吹き降りる冷たい空気が、地面に衝突して広がる際に強風が吹く現象)による倒木や家屋への被害、降ひょうによる農作物への被害、落雷による停電が発生して交通機関に影響することなど、様々な気象災害をもらたすことがあります。
日頃から雲の様子に関心をもつと変化に気付くことができるようになり、危険な天気から身を守ることに繋がります。