台風
秋は台風の日本への接近・上陸が多い季節です。それに加えて、海水温が年間で最も高い時期であることもあり、海水が膨張して潮位が高くなります。このため、潮位がより高くなる大潮の満潮時と台風の接近が重なると、高潮の被害がさらに大きくなります。
高潮には、2つの要因があります。1つ目は、台風や低気圧に伴う暴風が、直接海岸に向かって吹くことにより海面が上昇する「吹き寄せ効果」です。これは、風速の2乗に比例し、水深に反比例しますので、風が強いときや遠浅の海岸ほど、海面が上昇しやすくなります。
2つ目が「吸い上げ効果」です。気圧が周りよりも低い台風や低気圧の中心付近では、周辺の気圧の高い空気が海面を押し下げることで、中心の気圧の低い部分の海面を押し上げて、潮位が高くなります。一般に、気圧が1hPa低くなると、海面が1cm上がると言われています。
2018年の台風21号では、大阪湾の潮位が3.29mと歴代1位の記録的な潮位の高さとなりました。関西空港では滑走路が冠水し、港湾施設の被害が多数発生したほか、コンテナの流出や浸水した車両の火災が発生するなど、人的被害のみならず、多くの物流被害がでました。
夏から秋にかけては最も潮位が高い時期です。 高潮による被害の発生数はあまり多くはないのですが、起こってしまうと甚大な被害になりえます。インフラの整備により被害はだいぶ少なくなってきてはいますが、近年は、地球温暖化の影響もあり、想定の範疇を超えるような気象災害も起こりうるといわれています。過去の教訓を忘れてしまいがちになりますが、高潮を含めた台風による災害には、十分な警戒が必要です。