台風

7月から10月の夏から秋にかけては、台風の発生数が増える時期です。
台風は、北西太平洋または東シナ海、より具体的にいうと、北半球の東経100°から東経180°に位置し、かつ、最大風速がおよそ17m/s(34ノット、風力8)の熱帯低気圧です。

出典:国土地理院地図webサイト(筆者加工)
「熱帯低気圧」は、熱帯の海上で発生する低気圧で、海面から蒸発する水蒸気をエネルギーとしています。海面水温が26℃~27℃より高い海上で発生し、エネルギー源が海上の暖かくて湿った空気なため、陸上では発生しません。
また、北緯5°から南緯5°の間の赤道付近では、低気圧の渦ができにくいため発生することはありません。そして、熱帯低気圧のもととなる積乱雲の発生しやすい北緯5°から25°の間で発生することが多いのが特徴です。

出典:国土地理院地図webサイト(筆者加工)
さて、この「台風」ですが、英語では、「Typhoon」と訳されます。ところが、「台風」と「Typhoon」は、日本基準と国際基準で微妙な違いがあります。
台風の分類は、最大風速で判断されます。日本における台風は、最大風速およそ17m/s以上をいいますが、風速が強まるごとにさらに段階分けをしています。最大風速およそ33m/s(64ノット)以上~44m/s(85ノット)未満は「強い台風」、およそ44m/s(85ノット)以上~54m/s(105ノット)未満は「非常に強い台風」、およそ54m/s(105ノット)以上は、「猛烈な台風」です。

ところが、WMO(世界気象機関)が定める「Typhoon」は、最大風速およそ33m/sの熱帯低気圧をいいます。日本の「台風」に当てはめると、「強い台風」、「非常に強い台風」、「猛烈な台風」に相当します。
では、最大風速およそ33m/s未満の台風は、WMOでは、どのように定めているのでしょうか?最大風速およそ17m/s(34ノット)未満の熱帯低気圧は、「Tropical Depression(TD)」です。およそ17m/s以上~25m/s未満(34~47ノット)の台風は、「Tropical Storm(TS)」、およそ25m/s以上~33m/s未満(48~63ノット)の台風は、「Severe Tropical Storm(STS)」と表現します。

日本語の「台風」と英訳の「Typhoon」は、最大風速が異なることに注意が必要です。このように「台風」の表現が細分化されているのは、台風による被害を受けやすい日本独特のことなのではないかと感じます。