気象トピックス・コラム
台風
台風の厄日~9月に日本に大きな被害をもたらす理由~

9月は、日本へ大きな被害をもたらす台風が多くなる時期です。
特に農家の方々が、昔から台風を恐れていた日があります。それが、「二百十日」、「二百二十日」、「八朔(はっさく・旧暦の8月1日)」です。
二百十日、二百二十日は、立春から数えた日数ですが、それぞれ9月1日ころ、9月10日ころとなり、八朔は、旧暦の8月1日でやはり9月のこの時期になります。


このため、富山県富山市八尾町で行われる「おわら風の盆」をはじめとして、台風の風を鎮め、五穀豊穣を願うお祭りがちょうどこの時期に農村部を中心とした多くの地方で行われています。


では、なぜ9月の台風が日本へ大きな被害をもたらすのでしょうか?
まず9月は、日本近海の海水温が最も高くなる時期です。このため、台風は勢力が強い状態を保ったまま、日本列島に近付きます。


また、太平洋高気圧の勢力が弱まり、それとともに、真夏には日本の北にあった偏西風が日本付近に南下します。太平洋高気圧の縁を進んで近付いてきた台風が日本の上空の偏西風の流れに乗り、日本列島を早いスピードで縦断するので、非常に強い風をもたらし、農作物や家屋等に大きな被害を与えることがあります。


さらに、9月は、秋雨の季節です。台風の北に秋雨前線があると、台風の熱帯由来の非常に湿った空気が前線の活動を活発にして、大雨を降らせます。秋雨前線と台風が停滞することにより、雨が長く続き、総雨量も増えていくため、洪水や土砂災害の危険性も高まっていきます。


風や大雨に対する備えは万全でしょうか?9月1日は「防災の日」でもあります。台風などの災害に備えて、避難用持ち出し袋のほか、ハザードマップで避難経路の再確認をしておくことをおすすめします。