気象トピックス・コラム
冬型の気圧配置と南岸低気圧~雪の目安~

冬になると、「上空に強い寒気が流れ込む」という言葉を天気予報で耳にすることが多くなります。この寒気の強さが、雨になるか雪になるか、大雪になるかの目安となります。

冬型の気圧配置となり、上空1500m付近にマイナス6℃以下の寒気が流れ込んでくると、平地で雪の目安となります。

そして、上空5000m付近に、マイナス36℃以下の強い寒気が流れ込むと、大雪に対する警戒が必要です。

また、冬型の気圧配置であまり雪の降らない関東地方の平野部での雪は、南岸低気圧がほとんどです。

南岸低気圧の場合、北東から冷気を引き込むこともあり、上空1500m付近でマイナス3℃以下が平地で雪になる目安です。

しかしながら、南岸低気圧の雪の予測は、関東平野の地形特性のほか、1500mから地上付近の、気温や風など大気の状態により、雪か雨か変わるため、予測が非常に難しいのです。

さて、この「上空の気温」は、一体どのようにして測っているのでしょうか?

実は、気球に温度計をつけて、上空に飛ばして観測しているのです。このような観測機を「ラジオゾンデ」といいます。気象庁では、いまは、「GPSゾンデ」と呼ばれるラジオゾンデの一種を用いて観測しています。これで、気温の他、湿度、気圧、風向、風速等も測ることができます。

この観測は、「高層気象観測」といいます。日本時間では、9時と21時に、全国16の地点や昭和基地(南極)で観測しています。世界ではおよそ800の地点で行われており、世界中すべての場所で同じ時刻に観測しています。この高層のデータは、高層天気図の他、長期予報、世界の気候変動、地球温暖化の研究などの重要なデータとして活用されています。