気象トピックス・コラム
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はじまりは「雷注意報」

 

夏になると、「雷注意報」が発表されることが多くなります。「雷注意報」は、前線の活動の活発化や、台風の接近により雨が降っているときに発表されることはもちろんありますが、「雷注意報」が発表されているのにもかかわらず、晴天が続いて雲すらでない日があったり、特に雷が鳴ることもなかったりする日も多いものです。しかしながら、自分の住んでいる所では雷が鳴っていなくても、別の場所で雷が発生し、想像もつかないような大雨が降っていることもあるのです。

 

雷注意報が発表されているときには、「雷」だけではなく、「短時間に降る大雨」や「浸水害」などに注意するようにアンテナを立てておく必要があります。夏は、晴れている日でも、強い日差しにより気温が上昇し、大気の状態が不安定になり、午後を中心に夕立や雷雨になることがあります。特に山沿いや内陸部では、この雲が積乱雲にまで発達することもあるのです。

 

はじめは「雷注意報」でも、発達した雷雲から大雨が降ることが予報されると、気象庁は追って「大雨注意報」を発表します。さらに、この大雨による「浸水害」や「土砂災害」が予想されるときには、「大雨注意報」を「大雨警報」に切り替えて、警戒を促します。特に、発達した雷雲からは、短時間に強い雨が降ることが多く、道路のアンダーパスに車がはまって動けなくなることもあります。中小河川が急にあふれたりする他、急な斜面では、その場で雨が降っていなくても、上流部で短時間に激しく降った雨が鉄砲水となって押し寄せることもあります。雷雲の付近では、雷による被害、短時間に降る大雨に加え、竜巻や突風の恐れもあります。これらのような現象により、犠牲者がでることもあるのです。

 

予測が難しい雷ですが、「雷注意報」は、雷による被害だけでなく、生命の危険性につながるような現象の可能性を示唆しています。