子供のころ、「キン斗雲」に憧れて、「雲の上に乗りたい!」と思ったことはありませんか?果たして、雲に乗ることって、できるのでしょうか?
答えは、残念ながら「NO!」です。雲は、小さい水滴や氷の粒が空で光に反射して白く見えるものです。空に浮かぶ水滴や氷の粒には乗ることができないことは想像がつくでしょう。
それでも、「雲に乗った気分になってみたい!」と思ったら、「山に登る」とその「気分」になれます。高い山からは、「雲海」が眺められるからです。「雲海」は、山の上など、高いところから地上を見下ろしたときの雲を、海にたとえて表現したものです。「雲海」は、どんなときにできるのでしょうか?
雲海を見るのに良い天気のひとつは、「雨が降った後に、天気が回復に向かっていて、風が弱い雨上がりの朝」です。こんなときは、放射冷却が強まって気温が低く、湿度が高いという条件がそろっています。地表付近では空気が飽和し、濃い霧が発生しているのです。その濃い霧を山から見下ろしたものが「雲海」に見えます。これは、標高の低いところでみられる「雲海」です。
また、「日中の気温が比較的高い、初秋の夕方」も、「雲海」をみるチャンスです。日中に、地上の空気が暖められて上昇気流が起こって発生した、比較的背の高い「積雲」が、日が落ちるにつれて気温が下がって、雲の発達が抑えられてばらばらになり、背の低い「層積雲」となって、山の下に広がります。こちらは、高度2000mくらいのところにできる雲ですから、標高の高いところに登ったときにみられる「雲海」です。
山登りをして、「雲海」を眺めると、雲がすぐ足元からはるか遠くまで続いているように見え、その上をどこまでも歩いていけそうな気持ちになります。これらの気象条件が揃った日に山に登り、雲に乗った気分になってみてはいかがでしょうか?