台風
日本の最大瞬間風速のランキングを20位まで調べると、全て台風による暴風で、ほとんどの地点が南西諸島や九州・四国など、台風の影響を受けやすい地点で観測されています。各地点とも最大瞬間風速が60m/sを超えており、このような暴風は、樹木だけでなく電柱や街灯が倒れることもあります。住居が倒壊する恐れがあるほどの猛烈な風ですから、台風による暴風が予想されているときには厳重な警戒をしなければいけません。
気象庁の発表する台風情報は、「大きさ」と「強さ」の情報が含まれています。大きさは、風速15m/s以上の強風が吹いているか、吹く可能性のある範囲(強風域)の大きさを表現します。強風域が500km未満の場合は、大きさを表現しませんが、500km以上~800km未満は「大型」、800km以上の場合は「超大型」です。このような台風は、中心から離れている所でも強い風が吹くことがありますので油断ができません。
また、強さの基準は中心付近の最大風速で区分しています。最大風速が33m/s未満の場合は強さを表現しませんが、33m/s以上~44m/s未満は「強い」、44m/s以上~54m/s未満は「非常に強い」、54m/s以上は「猛烈な」台風です。大型でないコンパクトな台風でも、勢力(=強さ)が強ければ中心が近付くと急に風が強まる恐れがあり、警戒をしなければなりません。
台風による風は、進行方向の右側で強く吹く傾向にあります。台風の風は反時計回りに吹き込んでいるので、台風の右側では、台風本体の風に加え、台風の移動速度が重なり、風が強くなるのです。逆に、台風の左側では台風の移動方向が台風本体の風と反対になるので、やや風が弱まります。
このような性質は昔から船乗りに知られていました。台風の左側は「可航半円」、右側は「危険半円」と呼ばれています。航海中に台風に遭遇しそうになった場合に、台風の左側に船を動かせば、右側よりは風が弱い場所に避難できるというわけです。しかし、台風の左側だからといって安全なわけではありません。台風本体の風が弱ければ、危険半円も可航半円でも風速は大きく変わらないこともあります。また、台風の中心付近では、右側であっても左側であっても暴風となることは十分にあります。
秋の台風の特徴は、台風の右側の「危険半円」の風がより強まることです。台風は、秋になって張り出しが弱まった太平洋高気圧の縁に沿って進んだ後、日本付近に南下してくる上空の偏西風に流されて速度を速めて北上します。このため、「危険半円」の風がより強まるのです。
台風情報が発表されたら最新の情報を確認し、早めの備えをするようにしてください。