冬

1月下旬から2月上旬にかけてが、1年の中で最も寒い季節です。寒くなると、私たちは、何気なく、腕を組んだり、背中を丸めたりします。この動作は、私たちの防御本能から起こるものです。できるだけ体を小さくし、身を縮めて、体内の熱が外に逃げないようにしているのです。外に触れる体の表面面積が小さくなれば、それだけ体内の熱を奪われないですむからです。
ところが、寒さがさらに厳しくなり、体温の低下が防げないときには、体が震えだします。

この「体が震える」という動作は、私たちが無意識のうちにしてしまう、低温から身を守るための大切な手段のひとつです。私たち人間は、恒温動物なため、周りの気温に関係なく、体温が一般に36℃~37℃くらいに保たれるようになっています。この体温よりも高くなると、私たちは皮膚から汗を出して熱を発散し、体温を下げようとします。逆に、低くなってくると、内臓の働きによって熱を生み出します。

ところが、低くなりすぎると、内臓からは熱を生み出すのに時間がかかるため、それよりも早く筋肉を動かすことで、熱を生み出そうとするのです。これが「震え」です。私たちは、震えることによって筋肉を興奮させ、血液の流れを良くして、血管の末端まで血液を送ることによって皮膚の温度を上げています。

この「震える」という動作が、一番効率よく熱を生み出すため、外気の寒さにより体温が低くなってしまったときには、自然と私たちの体は震えるようになっているのです。
参考文献:「人はなぜ天気に左右されるのか」原田龍彦(河出書房新社)