気象現象

春になると日本海を低気圧が進むことが多くなります。立春から春分にかけての時期に、低気圧がこのコースを通るときに吹く一番初めの南寄りの強風を「春一番」というのは、よく知られています。「春一番」が観測されてからも、同じような気圧配置で南寄りの強い風が吹くときに注意しなければならないのが「フェーン現象」です。
「フェーン」という言葉は、もともとヨーロッパのアルプス地方で名付けられたもので「山から吹き降りてくる暖かくて乾いた風」という意味です。

出典:国土地理院webサイト(筆者加工)
「フェーン現象」は、山の斜面で雲を作りながら上昇する湿った空気が、高い山を越えて吹くとき、反対側の斜面に乾燥した高温の強風をもたらす現象です。湿潤な空気は、100m上昇するごとにおよそ0.5℃℃低くなります。たとえば、地上の気温が15℃だった場合、標高2000mの山であれば、山頂の気温は5℃です。冷やされた空気は雲になり雨を降らせるため、山頂では乾燥した空気になります。乾燥した空気は、100m下がるごと気温が1℃上昇します。このため、山頂で5℃にまで下がった空気は、2000mの山を吹き降りるときには25℃になっています。

日本でのフェーン現象は、日本海を低気圧が通るときに、太平洋側から中部山岳などの山を越えて日本海側に強い風をもたらすときにおこることが多くあります。まだ雪の残っている日本海側の山々に高温の空気をもたらすことで雪崩を引き起こし、乾燥した強風は火がでたら山火事や大火を引き起こすこともあり危険です。

それだけではありません。「フェーン現象」が起こった翌日には、寒の戻りが待っています。低気圧が東へ抜けると強い寒気が流れ込み、冬型の気圧配置となって気温が急に低くなるのです。このような寒暖の差は我々の体にとって大きなストレスになり、頭痛・関節痛の他、だるさやうつ病の発症・悪化など体調不良の引き金になりえます。

春先は、フェーン現象による雪崩や火災、その後の寒の戻りによる体調不良に十分注意をして下さい。