気象トピックス・コラム
気象現象
「内陸」「盆地」は冷えやすい!?~霜に注意~

二十四節気の「霜降」を迎え、秋が深まり寒さも増し、霜が降りはじめる頃になりました。
霜は、空気中の水蒸気が水になることなく、いきなり氷の結晶になることでできます。農作物やプランターの花などに霜が降りると、細胞が死んでしまい、大きな被害がでます。

霜が降りやすいのは、夜間晴れていること、風が弱いこと、気温が4℃以下であることなどがあげられます。


夜間、雲に覆われていると、雲が布団のような役割を果たす温室効果により地表付近の熱が逃げにくいのですが、移動性高気圧に覆われ晴れると、その雲がないため放射冷却が強まり熱は逃げやすくなります。

放射冷却が強まるときには風がかなり弱く、ほとんど吹かないこともあります。風が強いときは、空気がかき回されるため気温が下がりにくいのですが、風が弱いと地表付近の気温は下がりやすくなります。

そして、晴れて放射冷却が強まり気温が4℃以下になると霜が降りやすくなります。4℃以下というとそれほど冷え込みが厳しくないように聞こえますが、気温の観測は地上から1m50cmほどの所で行うため、地表付近は水が氷に変わる0℃近くまで低くなることがあります。

また、海沿いと内陸では、内陸の方が朝晩の冷え込みが厳しくなります。海は陸地に比べ冷えにくく、沿岸部はその影響を受けるので夜間に気温が下がりにくいのです。
特に内陸の盆地では厳しく冷え込みます。盆地では、日中は暖かい日差しによって暖められた空気が斜面に向かって上昇しますが、夜になると、冷えた斜面から冷たい空気が流れ込み、冷気がたまることでさらに気温が低くなるのです。


各地方の気象台では、霜の初日ということで、霜が最初に降りた日を観測しています。霜の初日は、海沿いか内陸か、内陸でも盆地かどうか、また平地か山沿いかなどで気象状況が異なるため、単純に北から南へと順番に観測されるというわけではありません。


地方にもよりますが、霜が降りて被害でるのは、秋の早霜期と春の遅霜期です。特に晩秋や晩春は、ご家庭のプランターや農作物の管理に十分注意してください。