気象トピックス・コラム
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放射冷却

 
皆さんは、晴れの日と曇りや雨の日ではどちらの方が気温が低いと思いますか。
昼間であれば、日差しのない曇りや雨の日と答える方が多いかもしれませんが、夜間の場合は晴れの日の方が気温が下がって、秋から冬、春にかけての翌朝は放射冷却が強まり、かなり冷え込むことがあります。
 
放射冷却とは、地面の温度が下がり、気温の下がる程度が大きい時にテレビなどでよく使われる言葉です。
地面からは、昼間でも夜間でも宇宙に向かって熱が放射されています。昼間は、太陽からの熱の方が地面から放射される熱より多いので地面が暖まります。一方、夜間は太陽からの熱がなくなり、地面から宇宙に熱が放射されるだけになるため、地面が冷えていきます。このときに雲があると、雲が布団のような役割をしてくれるため、気温はあまり下がりません。
また、風の強い日の夜より風の弱い日の夜の方がよく冷えます。風が弱い場合は、地面付近の空気がその場に溜まり、どんどん冷えていくためです。
 
このように、夜間冷え込む2つの条件、「よく晴れる」「風が弱い」という気象状況は、移動性高気圧に覆われたときによく起きます。秋から冬、春にかけては移動性高気圧が来ると、昼間はよく晴れて穏やかなことが多いですが、夜は冷え込みます。晴れて風の弱い日は、朝晩と日中の気温差が大きくなるため、服装を上手く調節して体調管理に気を付けて下さい。
また、秋や春には早霜や遅霜をもたらして、農作物に大きな被害が出ることもあるので注意が必要です。
 
晴れている日には雲という布団がありません。夜に星や月などがよく見えるときは、お休みの際にしっかりと暖かい布団をかけて風邪をひかないように気を付けましょう。