気象トピックス・コラム
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台風による暴風

 

日本の最大瞬間風速のランキングを20位まで調べると、全て台風による暴風で、ほとんどの地点が南西諸島や九州など、台風の影響を受けやすい地点で観測されています。各地点とも最大瞬間風速が60m/sを超えており、このような暴風は、樹木だけでなく電柱や街灯が倒れることもあり、ときには住居が倒壊することがあるほどの猛烈な風ですから、台風による暴風が予想されているときには厳重な警戒をしなければいけません。

 

台風による風は、進行方向の右側で強く吹く傾向にあります。台風の風は反時計回りに吹き込んでいるので、台風の右側では、台風本体の風に加え、台風の移動速度が重なり、風が強くなるのです。逆に、台風の左側では台風の移動方向が台風本体の風と反対になるので、やや風が弱まります。

 

台風の進行方向の右側が日本列島にあたるようなコースを通った場合、風による被害が多くでます。例えば、リンゴ台風と呼ばれる1991年の台風19号は、長崎県の佐世保付近に上陸し、日本海を北上して、北海道の渡島半島に再上陸するというコースをとりました。台風の進行方向の右側が日本列島をすっぽりと覆うようなコースであり、中心付近の最大風速50m/sと非常に強い勢力を保っていた上、日本海を北上するときの移動速度が非常に早かったため、広い範囲に最大瞬間風速50m/s以上の暴風をもたらせ、多くの犠牲者をだしました。

 

気象庁の発表する台風情報は、「大きさ」と「強さ」の情報が含まれています。大きさは、風速15m/s以上の強風が吹いている範囲の大きさ、強さは中心付近の最大風速で強さを表現します。33m/s以上~44m/s未満が「強い」、44m/s以上~54m/s未満が「非常に強い」、54m/s以上が「猛烈な」台風です。あまり大きくはないコンパクトな台風でも、勢力が強ければ中心が近付くと急に風が強まる恐れがあり、警戒をしなければなりません。また、台風の大きさの階級は、風速15m/s以上の強風域の範囲が500km以上~800km未満が「大型」、800km以上の場合は「超大型」です。このような台風は、中心から離れている所でも強い風が吹くことがありますので油断ができません。

 

秋の台風の特徴は、日本付近で急速に速度を早めることがあげられます。ことし2018年の台風21号は、日本に上陸してから徐々に速度を上げ、日本海を北上したときには時速は80キロ以上となりました。台風の中心や右側にあたった四国や近畿地方を中心に、広範囲で暴風が吹き荒れ、大規模な停電や交通機関の乱れが生じました。台風がまだ離れているからと安心せず、最新の情報を確認し、早めの備えをすることが大切です。