気象庁や地方気象台の発表する風の予報は、その表現の仕方でどのような風が吹くのかがわかります。
たとえば、天気予報で、「やや強く」という表現があるときは、おおよその目安として、10m/s以上15m/s未満の風が吹くと予想されているときです。「やや」という言葉には、「少しばかり」という意味があるのでそれほど強くないように聞こえますが、時速にすると40km~50kmくらい、一般道路を自動車が走るくらいのスピードです。木全体が揺れだして、人は風に向かって歩きにくくなり、体感的には十分強いと感じる風です。
「やや」がなくなり「強く」という表現になると、15m/s以上20m/s未満の風になります。高速道路で車を運転していると、横風に流される感覚が大きくなります。看板やトタン板が外れはじめ、人は風に向かって歩けなくなり、転倒する人もでてくるため、高いところでの作業はきわめて危険な状態になります。
「強く」が「非常に強く」になると、20m/s以上30m/s未満です。車の運転が困難となり、農業用ハウスのフィルム部分が破れます。細い木の幹が折れ、看板が落下し飛散し、道路標識が傾くこともあります。人は何かにつかまらないと立っていられなくなり、飛ばされてきた物によって、怪我をすることもあります。
30m/s以上は、「猛烈な風」です。例えると特急電車並みのスピードで、走行中のトラックが横転したり、樹木が倒れたりします。ブロック塀や住家でさえ、倒壊する場合もあります。人は、屋内にでるのは極めて危険なため、外出は控える必要があります。
風の予報で使われる風速は、「平均風速」と呼ばれるもので、10分間に吹いた風を平均したものです。しかし、風の吹き方は一定ではなく、瞬間的には、この風速の1.5倍程度の風が吹きます。また、大気の状態が不安定で落雷などの恐れがあるときや、地形の影響で風が集まりやすい場所では、思わぬ突風が吹くことがありますので注意が必要です。