海上では常に波があり、その高さは一定ではありません。海の波を一波一波見ていると、まるでニコニコと笑顔で嬉しそうに遊んでいたかと思ったら、急にシュン…と落ち込んで泣き出してみたりと、コロコロと変わる子供のテンションのように、高かったり低かったりするような…、と感じたことはありませんか?
それにもかかわらず、天気予報では「あすの波の高さは○mでしょう」と、波の高さを一言で伝えています。いったい「波の高さ」って、何なのでしょうか?
一般に、「波」というのは、「有義波(ゆうぎは)」のことです。有義波は、一定の期間観測した波を高い順に並べ、高い方から3分の1を平均したものです。気象観測、天気予報だけでなく、防波堤の設計なども「波」と言えばこの「有義波」を使います。有義波は、平均よりやや高いところを基準にしています。
それでも海の波は複雑なので、100波に1回はおよそ1.5倍、1000波に1回はおよそ2倍の波が発生することが知られています。これを一発大波(いっぱつおおなみ)といい、海水浴や磯釣りなどをするときは、こういった高い波が打ち寄せることを想定しておかなければなりません。
また、天気予報では「うねりを伴う」という表現があります。波というのは、その場で吹く風によって発生するものですが、台風や発達した低気圧の周辺など、遥か遠く離れた所で発生した高い波も伝わってくるのです。それを「うねり」といい、周期が長いのが特徴です。
「うねり」は、その場では、風が弱いと白波もなく穏やかに見えるため、波の高さが分かりにくいですが、周期が長いため、浅い岸で急に高く立ち上がり、砕ける性質があります。また、うねりは湾の奥まで入っていきます。サーファーにとっては絶好の波ですが、エネルギーも大きく、巻き込む力も強いので、危険な波なのです。
複雑な成り立ちで海から打ち寄せてくる波は、海岸の地形でも大きくその姿を変えます。海のレジャー真っ盛りのこの季節ですが、男女を見る目だけでなく、「波を見る目」も備えて安全に楽しんで下さい。