気象トピックス・コラム
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時雨(しぐれ)

 

冬型の気圧配置になる日が増えてきて、日本海側では、「時雨(しぐれ)」となる日が多くなっています。

 

時雨とは、晩秋から初冬にかけて、日本海側を中心に降る通り雨のことです。しぐれる日はとても寒く、冷たい雨になります。このためか、時雨には、「涙を流すこと」という意味もあります。何度も繰り返す冷たい雨にたとえられた涙は、さぞ悲しい涙であることがうかがえます。

 

時雨を降らせるのは、大陸から吹く冬の冷たい季節風と、比較的海水温が高い日本海です。11月に入って、冬型の気圧配置の日になる日が多くなりだすと、大陸から日本列島へ向けて冷たい季節風が吹くようになります。この季節風は、大陸から吹くため、元々は乾いていますが、暖かい日本海を渡ってくるときに、水蒸気を含んだ湿った風に変わり、雲をつくりながら日本列島に近付いてきます。
この雲は、波状的にやってくるので、雨が降ったりやんだり、また時には日が差すこともあります。時雨の後に日が差すと、虹がでることも多く、日本海側では、晩秋から初冬にかけては、意外にも虹がよくみられます。

 

また、時雨は、いつ降ったか、どんな風に降るかで、さまざまな表現があります。朝通り過ぎれば、「朝時雨」、夕方であれば、「夕時雨」、夜の時雨は「小夜(さよ)時雨」といいます。
それから、一時的にでも激しく降る雨は「村時雨」、強い風を伴う横殴りの降り方をするときは「横時雨」、一方は日が差しているのに、一方はしぐれているときは、「片時雨」と表現します。時雨の季節が進むと、雨に雪が交じるようになり、雪になると「雪時雨」に変わります。

 

これから日本海側では、時雨やみぞれや雪を繰り返しながら、本格的な雪のシーズンとなっていきます。