秋
朝の空気が冷えてくるようになると、「露」を見ることが多くなります。「露」は、秋の季語のひとつです。「露」がつく二十四節気には、「秋分」をはさんで「白露(はくろ)」と「寒露(かんろ)」があります。残暑が徐々に収まり、朝晩は涼しくなってきて露ができ始めるのが白露、その露がさらによく見られるようになり、いっそう冷たくなる頃が寒露です。
「露」は、別名で「月の雫」とも呼ばれています。夏が過ぎて秋になると湿度が徐々に低くなり空が澄んでくるため、秋は1年のうちでも月が最も美しく見える季節といわれています。中秋の名月などのお月見の風習もありますし、白露から寒露にかけてのこの時期は月に親しみやすい季節でもあるため、月が露につながりこういった言葉が生まれたと思われます。
「露」は、夜間気温が下がることによって、空気中に水蒸気が含みきれなくなり、水滴となって草や木に付着する現象です。露がよく見られる条件の一つに「昼と夜の気温差が大きいこと」があげられます。こういったときは、移動性高気圧に覆われてすっきりと晴れ日中は気温が上がりますが、夜間雲がないことによって地表の熱が奪われる放射冷却が強まり朝はぐっと温度が低くなります。
また、この時期は低気圧と高気圧が交互に通り、天気は周期的に変化します。雨が降った後に移動性高気圧に覆われるため水分も地表付近に残っていて、露が結ぶための水蒸気が十分にあります。こういったことも手伝って露がよく見られるようになるわけです。
そして、季節が進みさらに冷え込むようになり気温が4度以下になると、地表付近の温度が0度近くになるため、露は霜に変わってしまいます。
夜間月が美しく見える翌朝には、朝日に輝く美しい「露」が見られるようになります。この「月の雫」で、深まる秋を感じてみてはいかがでしょうか?